シマフクロウ
「シマフクロウ」をラベルに
ワインラベルは学生と教員がアイディアを出し合い、共同で制作を行っています。
今回は「シマフクロウ」を中心的なモチーフとして取り上げ、北海道の自然の恵みを表す「植物」と「果汁」、地域との連携を意味する「リボン」、北海学園大学のコミュニケーションマークを周囲に配置しました。
シマフクロウは、国内では北海道と北方領土にのみ生息する鳥で、アイヌでは「コタンコロカムイ(集落を守る神)」とよばれ最高位のカムイの一人として崇められています。また、西洋でも知恵・知識・学問・芸術のシンボルとされていることから、本プロジェクトの「生命工学科の知識と技術で地域貢献をしたい」という想いを表すのに、象徴的なキャラクターであると考えました。
また、本学科には日本のシマフクロウ研究の第一人者である早矢仕有子教授が在籍しており、縁の深い動物でもあります。
2019年度スパークリングのラベル
シマフクロウ
本学科教授早矢仕有子氏による解説
フクロウの仲間は世界中に約250種が分布しています。両目が前面に並んだ顔つきが人と似ているためか、他の鳥類より親近感を覚える人が多いようです。知的な印象も強く、古代ギリシア神話で知性、芸術、戦いを司る女神アテネの従者は、学名に「アテネ」を冠した小さなフクロウの1種です。
北海道は日本で唯一のシマフクロウ生息地です。翼を広げると180cmに達する世界最大級のこのフクロウは、南千島やロシア沿海地方にも生息していますが、総個体数が2,500羽に満たない絶滅危惧種です。子育てに必要な大木が森林伐採で失われ、主食の魚が河川工作物により減少したことがシマフクロウを追い詰めたのです。
アイヌの人々は、村を守る最高神「コタンコロカムイ」としてシマフクロウに敬意を払ってきました。それは、シマフクロウの存在自体が、自然の恵み豊かな川と森の象徴だったからでしょう。
コタンコロカムイがいつまでも北海道と共に在りますように。
北海学園大学工学部生命工学科 早矢仕有子